どうも。
浮月 いのりです。
夏コミ新譜『それでもわたしはあなたと共に』の最終的なあとがきです。
面倒くさいことぐだぐだ言ってるだけの文章です。
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この物語は色々と書きたいことがありました。
うみまきの物語もそうですし、「祈り」とは何なのだろうかというテーマもそうです。
そして隠れた?テーマとして「表現の形」がありました。
自分自身が音楽を作るようになって色々な表現が出来ると思い、それは今でも変わっていないのですが、同時に音楽で表現しても伝わらないのではないかという、言葉にするととても違和感のある何かが生まれるようになりました。
「あなたのことが好き」
この想いを音楽で表現することは可能ですが、果たしてそれを聴いた方がきちんと
「あなたのことが好き」
と受け取ることが出来るのだろうか。
青々とした木々から零れ落ちる陽の光の暖かさや、遠くから子供たちの声が聞こえて少し肌を刺す冷たさを持った風が吹く、そんな夕日の風景は届くのだろうか、と。
相手のことが好きだけれども、それを伝えることが出来なくて、それでもどうにかして表現しなければおかしくなってしまいそうな想いは届くのだろうか、と。
音楽では伝えきれないものが確かにあるように思えました。
一方で、自分自身は元々文章、小説を書いていますが、それでは表現しきれない、そうじゃない、もっと別の何かなんだという物事や表現や事象や風景や気持ちが確かにあります。
単純に自分の語彙が貧相というのもあるのですが。
この作品において作るきっかけとなった、そして何よりも影響を受けたであろうharuka nakamuraの『音楽のある風景』というアルバムの「光」を聴いているとただそこに在るような気分になります。
それを、自分は「祈り」と表現しましたが、それだけではない形容できない何かが、そこには在るのです。
言葉では表現しきれないものが確かにあるように思えました。
音楽では伝えきれないものがあり。
言葉では表現しきれないものがある。
とてもエゴに満ち溢れているのですが、そう感じてしまうことがありました。
海未と真姫はそれを目の当たりにしたことがあったのだろうか。あったとして、どう思ったのか?
二人とも頭がいいですし、「それはそれ」として特に意識しなかったかもしれません。
海未にすればむしろそれは乗り越えるべき物であって、様々な小説や創作物に触れて自らの語彙や表現などに磨きをかける糧となる、と言うかもしれません。
でもそれはあくまでも己の中の問題であって、さてそれが相手の表現とすり合わせるとなったら……。
お互いがお互いの創作を見て凄いと思った場合は……。
もちろん。相手があれだけ凄いのだから、負けない――。となるのが普通なのかもしれません。
でも、どちらも妙にプライドを持っているキャラでありながら、どこか脆そうなイメージも自分は感じていました。
相手の作る詩、音楽に自分の作る詩、音楽は相応しいのか。合っているのだろうか。そう考えたことがあるんじゃないか――。
そんな自分が創作を行う中で感じていた何かを、海未と真姫に「ごめんね」と思いながら書きました。
海未と真姫は何か答え、あるいはそのヒントを見つけたようですが、あれが正解なのかは未だに良く分かっていません。
でも、あれも一つの解なのだろうな、と思います。複数解の内の一つであることには恐らく違いないのです。
それは自分も同じで、小説と音楽での頒布はそんな背景もあって作った……とも言えるかもしれません。
もちろん、基本的にはまえがきで言ったことが全てなのですが。
色々とつまづくことがあるだろう。すれ違うこともあるだろう。
今回みたいに、どうしようもなくなってしまいそうなこともあるだろう。
それでもわたし(真姫/赤)はあなた(海未/青)と共に――。
音楽では伝えきれないものを小説として。
小説では表現しきれないものを音楽として。
それを、小説は海未視点として。音楽は真姫視点として。
一つを二つに。二つを一つに。
新刊と新譜は二つ並べると手を合わせる一枚のイラストになり、一つのタイトルになります。
「それでもわたしはあなたと共に」「祈りの詩を奏でよう」
CDは右開きで小説は左開き。中を開けようとするとちょうど両開きの扉を一つの物語が始まるようになります。
そして二つ別々の媒体ですが、どちらも最後は「そして僕は祈る」という一つの「詩」と「音楽」が重なった「歌」で収束して終わります。(CDはインストですし、小説も時系列的にはCD版の後になりはするのですが……)
一つの物語を二つの形で、二つの軌跡を一つのカタチに。
これもまた、自分にとっての一つの解なのかもしれません。
最初こういう頒布形態にしようと考えたときも、出来たときも、実際に頒布する直前も、手にとってくれる人なんているのかと思っていたのですが(というか誰も手にとらないだろうとすら思ってました……)終わってみたら閉会する前に50部が完売となりました。
そりゃ思いませんよ。いくら人気があるというラブライブとはいえ小説とCD(しかもアレンジでなくてオリジナル。しかもインストのみ)ですよ?
完売なんて思ってもいなくて、完売後にスペースに寄って頂いた方、完売であることをお伝えした方もいらっしゃったのでもっと刷ってもよかったのかなぁ……と思いながら申し訳ない気分でいっぱいです。
手にとってくださった皆さん。本当にありがとうございます。手に取れなかった皆さん、申し訳ありません。
再販は今のところする予定です。頒布は遅くても冬コミが受かればその時には、と思います。
委託はちょっと分かりません。店舗委託は(頒布形態が特殊なので)多分ないです。
最後に、一枚絵となるジャケット、および小説表紙イラストを描いて下さった黒河真琴さん、本当にありがとうございました。
黒河さんのイラスト、多くの方の目に留まって「このイラスト良かった」とおっしゃって下さる方も多くいらっしゃいました。
そしてそのジャケットと表紙のテンプレートを製作してくださった切餅さんもありがとうございました。
あなたがいなかったらきっとこの作品できてなかったでしょう。または酷い表紙とジャケットになったと思います。
そして音楽関係で多大なまでにアドバイスと、励ましの言葉を下さったmasaki kawasakiさんには感謝の言葉が見つかりません。
コードから曲の作り方、編成色々とアドバイスを頂きました。masakiさんもいらっしゃらなかったら、ここまでの作品にならなかったです。
そして何よりも、いきなりうみまきのCDと小説を出すって話から手に取ってくださった皆さま。本当にありがとうございました。
何かあったら感想お待ちしております。いえ本当にこの形態で出してよかったのかってほんと不安なのです。
冬も一応それで申し込んでいますが、そのあたりの判断も未だに自信がないので、良かったとかでもいいのであったらなぁ…と。
次回はどうなるんでしょうか。
うみまきだとは思うのですが、本当に、どうしたものですかねぇ……。