どうも。
浮月 いのりです。
夏コミ新譜『それでもわたしはあなたと共に』の曲紹介。
製作時、物語と合っているか常に不安になっていた、恐らく誰もがこの場面のイメージと思っていないのではないだろうな、と感じている。
そんな8曲目です。
―ねぇ、真姫ちゃんはどう思ってるの?―
扉のノックと共に聞こえたのはにこの声。
「スマホこの部屋のどっかに忘れちゃったみたいなんだけど、ちょっと何処にあるか見なかった?」
わざとらしい口調で言いながら、テーブルの上に置いてあったスマホを見つけるにこ。
ふぅと息をついたにこは真姫に何かあったのかと聞いてきた。
ドキリとする。悟られまいと最初は何もないと言ったのに。
「それは本当に思ってることなの?」
次第に、にこの口に乗せられて本当のことを話してしまう。
「じゃあ素直に伝えなさいよ」
ことの顛末を聞いたにこと言い合ううちに、見ざるを得ない自分の思いに向き合わされる。
本当の想いに、伝えないといけない想いに。
・・・
にこ先輩は小説では最後を除いて会話内でちょこっとしか出ませんが、真姫視点では真姫に自分の気持ちを改めて分からせて、素直な形ではないですが背中を押す、というとても重要なポジションにいます。
つまり、海未視点となる小説では穂乃果と絵里先輩が引き受けている役割をにこ先輩に背負ってもらいました。
海未の場合はうじうじと理屈立てるのをばっさりと切り捨てて(?)全肯定する、感情というか抽象的な部分を穂乃果に、その上でまだ引っかかってるものを理性的に分からせてあげる部分を絵里先輩に。
数少ない感想で穂乃果に言及して下さった方がいらっしゃって凄く嬉しかったです。
ああいうことが出来るのは穂乃果の強さだと思うのですが、いやぁ自分は穂乃果が好きなので
閑話休題
真姫の場合ですが、りんぱなが穂乃果的な部分を少し、そして絵里先輩ほど理論的ではないのですが、ずばずば言ってくれる点や強烈に相手に分からせたり背中を押せる力を持ってるのはやはりにこ先輩だろうと。とりわけ真姫においては。
なので見方によっては、というか多分にこまきを意識して作った曲かもしれません。
にこまきを意識した曲となるとレミニセンスに収録されてる「この世界に生きて」に続いて2曲目ですか。
小説では書けないと言いながら音楽では書いてる阿呆です。
どうも。浮月 いのりと申します。
二度目の閑話休題
真姫視点の大事な場面であるのですが、曲としては非常に表現しづらい場面でどうすればいいか悩みました。
頭の中にあるストーリーではにこ先輩がいるのですが、それをどう音楽として落とし込むか、とか。
なので曲単体としては結構気に入ってるのですが、シナリオと合っているかという点は一番悩んだ曲です。
本当はもっとギターはディストーションが効いて、時間帯やシーンを含めシューゲイザーのようなディレイとかリバーブが効いたエモい音色と言いますか、そういうのを考えていました。
にこ先輩はそういう「エモい音」な気がするんです。自分だけかもしれませんが。
が、ギターでそういう音が出ない。出そうとすれば出せるのでしょうがなんちゃっての音色は上手くピアノとからんでくれないし、そもそもそういう音が出ない。
ギター弾けたらなぁ、と思いながらもそんなお金ないし。頼むにも友達がいない。
そんなこんなで〆切り2週間をもう切ってたと思うのですが、他にも出来ていない曲が数曲ある中でそこまで割ける時間も正直なかったのでここは作りの発想を変えようと。
かと言ってにこ先輩が出てくる以上やはりギターは使いたかったしピアノと絡ませたかったので、ディストーションとは逆のクリーンなギターにしてみよう、と。
力強さをしなやかさと解釈すればその音でも――と思い、クリーンギターを中心に組み立てたらフレーズが浮かんできたので、それをメインに作っていきました。
加えてにこ(ギター)の掛け合いとしてピアノを入れたのですが、それをいじって自分の好きなリバース音にして入れてみたらさらに良くなったので採用。
というかエレクトロニカ感が今までの曲であるか不安だったというのもあったのと、リバース音が効いている曲は絶対にアルバムに1曲は欲しいと思ってたのもありますが……。
結果完成してみると爽やかで真姫が前を向くような感じは出たと思うのですが、にこ先輩らしさ、どこかににじんでいるでしょうか……。