『Ever Garden』のはなし(3曲目「透明な壁、断絶された世界」

どうも。
浮月です。

『Ever Garden』の曲のコメントという名の言い訳です(お

3曲目「透明な壁、断絶された世界」 

―ほうきで掃除をしているこの一帯の、向こう側を私は知らない。―

『Ever Garden』で追加された新曲です。
双観 伊鈴の世界を改めて提示すると共に、その日常にスポットを当てた曲です。これが双観 伊鈴の日常というような。

自分の中で伊鈴は、何度も言いますが『トリコロ』という世界の中には存在しているものの原作からは認知されていない存在としています。
そしてその世界というのは完全に断絶されたというわけではなく、言わば不可逆のようなものではないのだろうか。
つまり、伊鈴からはトリコロの世界を見ることが出来ますが、トリコロの世界の住人、つまり八重を始めとするキャラクターからは認知されないようなものではないか、と。

そこで浮かんだのが「透明な壁、断絶された世界」という言葉でした。
透明だと向こうからも見えるんじゃね? という話ですが。。。
でもほら、マジックミラーの壁だと色々とアレじゃないですか。なんか壁じゃなくて号とかつきそうですし。

閑話休題

この言葉が浮かんだと同時にその風景を考えてみると、朝方に伊鈴が花屋の前を掃除するシーンが思い浮かびました。
なんだかんだで伊鈴は花屋の娘ですし、それこそ不登校児ですが仕事に関してはそれなりにきっちりやる子のイメージがあるので箒も毎日掃くんじゃないかなぁ、と。
でも、そんな伊鈴は自分は見えている透明な壁の向こうの人たちには認知されなくて、ただ孤独で。
それを際立たせるために壁というのだから音なんて通らなくすればいい! と酷いことを考えた結果が冒頭部分です。

冒頭の街角の音というか環境音はあくまでも私たち読者から見える風景(つまるところ「原作の世界」)です。
でも実際の所そんな音は伊鈴の世界にはない。
ただあるのは、自分の心の中の音であり、風景から想像される音。
そして、透明な壁の内側にある、自分が箒で掃くその音だけ……。

彼女はそれをもう年単位で、毎日、無限ループの様に繰り返しているのでしょう。
誰にも気づかれることが無く、それでも存在が与えられているから存在せねばならず。
ただただ、箒を掃きながら透明な壁の向こうにある世界を眺めては、通らない音を想像する。
どんな話をしているのか、どんな世界が向こうにはあるのか。
その想像はもはや経験しつくして、どこか一つの遠い残響になってしまっていて……。

断絶された伊鈴の世界で聴こえるのは自ら掃く箒の音だけ。それでも、それでも……。

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