冬コミ新刊『いつか、そこで君と』のまえがき

どうも。
浮月 いのりです。

 気がつけばまた間が空いていました。
 昨年は同人で春に『落葉上のスキエット』、夏に『8月のカーテンコール』といううみまき小説を出して冬に『いつか、そこで君と』ということまき、及びりじママ(ことりママと真姫ママ)の小説を出したのですが、その話を全くここでしなくなりました。
 時代が変われば(以下略

 さて、その中でも直近で冬コミに出した『いつか、そこで君と』について、まただらだらと話していこうと思います。
 前二つは、まぁ、その、あれだ。頑張る。

『いつか、そこで君と』 まえがき

 まぁ、前書きと言っても大層なものではなくて、ただ自分がこれからこの作品に収録されている「いつか、そこで君と」と「失われた海の底で」について話す前に、何かこの作品のきっかけになったものを自分の中で書いておこうと思って書いたものです……。
 後、自分が忘れやすい為の備忘録。

 さて、この作品の案というか、大元のシチュエーションが浮かんだのは、昨年の二月にharuka nakamuraの写真展が吉祥寺のキチムという喫茶店でやる、って話を聞いて実際に行った時でした。
 正確に言うとその時ではなく、二回目の時だったと思いますが。いずれにせよそこで物販的な形で売られていたのが、アンティークピアノの鍵盤とペンダントのセットでした。
 このピアノの鍵盤を見た瞬間、自分の中で「掃除の途中でピアノの鍵盤を見つける」というシチュエーションが生まれ、それが恐らく始まりだと思います。
 まぁしかし実際のところおいそれと出せる値段ではなくて、その当時は諦めていたのですが、大阪公演でもやっぱり良いなぁ、と思いついに夏コミ後で気分が良くなっていた広島公演で買ってしまったのは、この作品をことまきで書くと決めた後ではありました。

ペンダント
ピアノの黒鍵

 それで、最初に考えてたカップリングはうみまきでした。『半径55センチメートルの音楽』の後、やっぱりうみまきがベースとしてあったので。
 確か、海未と一緒に掃除されていない音楽準備室を掃除していたとき、棚の裏側に物が落ちてないか確認する為に除いてみたら何かがあった。それを何とかして寄せてみると、古いピアノの鍵盤だった――。そんな流れでした。
 ちなみにこの後、真姫は立ち上がろうとしたら黒板の粉受けに頭をぶつけるのですが、その粉受けには実は――という話があったのですが、それもボツになりました。
 が、そのエピソードが「失われた海の底から」のタイトルイメージに繋がったと思うと、あながち全部をボツにしたわけではなかったのかもしれません。

 さてその時から真姫ママがピアノの鍵盤に絡んでいるというのは織り込んであったのですが、どうもしっくりこない。
 なんでだろうなぁと思うと、海未の母があまり自分の中で想像出来なかったのと、更に言えば真姫ママとの絡みが全然思い浮かばなかったのでしょう。
 劇場版の最後の最後でしか出てきませんでしたしね。海未ママ。
 最初は手紙だけではなく歌詞付の楽譜も考えていて、実は真姫ママって海未ママと歌を作っていたんだよって話を考えていたのですが、出会ってから曲を一緒に作るようになる過程も含め上手く考えられず、その上で今の海未ママと真姫ママって――? というのも分からず。
 それでしばらく放置していて、先に夏コミで『8月のカーテンコール』を作ったのですが、さぁいよいよ冬を考えたときどうするかなぁ、と。
 うみまきでも良いのですが、時間が無いのも含め今あるのだとその鍵盤の話。でもうみまきは難しそうだ……、と思ったとき、ふとある方の真姫ママとことりママの高校生時代の話を描いた同人誌を読んだのを思い出しまして。あ、それならことまきもあるんじゃないか? と。
 まぁ、ツイッターでことまきを書いてくださいという圧力もあったのですが(
 そんな流れもあって、冬のサークル受付締切直前のギリギリまでうみまきかことまきかで悩んだ末に、ことまきで応募。
 そこからやっとこの話の製作に取り掛かることになったわけです。

冬コミ新刊『いつか、そこで君と』のまえがき」への2件のフィードバック

  1. はじめまして、Berylというものです

    再び逢う……小説を読み終えた後、
    Reunionを聴きながら感想を書かせていただきました
    静かな曲調ではあるものの、
    二つの話を読んだ後ではその中にはらんでいる場面の空気や
    登場するそれぞれの関係性、小説の展開が構成として感じられる曲調で、
    海底の日溜りにいるような感覚を受けつつ、
    感想を書くのに随分と時間がかかったのですが、その間ずっと聴いていました
    素敵な曲だと思います

    まずは、『いつか、ここで君と』について

    私は一応36カップリングの長所やテーマについて一度は考えたことがあるのですが、
    やはりどのカップリングにもそのカップリングだけの特徴があって、
    中には短所もあると思っています
    けれどやはり、
    それぞれのカップリングには深みがあって、
    「○○○○学基礎」、「○○○○学概論」を知ってはいても、
    その道を深く進んでいる方の様に理解しているわけではありません

    しかし、僭越ながら「ことまき」に関しては
    多少知識を持っていると思うので
    「ことまき」に関する最大の主題とは何か、
    については分かっているつもりです

    「ことまき」は、
    二次創作において「互いの距離のつめ方が多様」な事が長所であり、
    このカップリングに触れた人がすぐに気付く点であって且つ最も難しい主題とは、
    『過去への向き合い』と『将来への向き合い』という時間軸の両極をどの様に表現するか、
    ということだと思います

    過去に関しては『幼馴染』の要素を取り入れるか否かの選択で取捨選択、
    あるいは片方の時間軸に絞って展開できますが、
    どちらにしろ難しいのは確かです

    その両方を主題に入れて一冊の本として完成させた事が本当に素晴らしかったと思います
    過去、つまりは『失われた海の底から』に関してもっと言いたいこともあるのですが、
    まずことまきの話から

    カラーリングからか、公式で正月の絵が多いからか、
    クリスマスから年始にかけての、
    寒い冬の季節がとっても似合う二人なんですよね
    二人で温めあう様子が、
    この後のことを考えると少し切ないのですけれど愛しくて、
    でもこの二人なら絶対にまた会えると確信できて

    ことりちゃんの帰りを何年かかっても待つ真姫ちゃんというのは
    もう頭の中に強いイメージを持って刷り込まれているので、
    その彼女の事を考えると胸が締め付けられて
    読んでいて真姫ちゃんの感情が痛烈に感じられて、
    とても素晴らしかったです

    ことまきは
    相手をリードする構成でどちらに比重を置いても
    伸びるところが全く違って素敵なのですが、
    こういう穏やかな流れの中の二人というのもまた魅力的で、
    ことりちゃんの優しい雰囲気、そしてしっかりとした意思を持っている姿が
    良かったと思います

    そして、普段ことまきを専門にしているにもかかわらず、
    感想を伝えたかったのが『失われた海の底から』について

    今まで私は、一応二人の母親を題材にした二次創作作品がいくつかあることは知っていたのですが、
    「慎重に扱わなければことまきが食われてしまう」、
    「言い方は恋愛としてふさわしくないと思うけれど、
     なるべくして好きになったような要素に縛られている感じが強くなる」、
    などという具合に思っていて、読む機会は少なかったのです

    けれどこの作品においてはそれらを全く感じず、
    具体的に言うと
    前者に関しては
    一つ目と二つ目の話でそれぞれ独立し、
    且つしっかりとした内容構成になっていた為皆目そのような印象を受けず、
    後者に関しては、
    逆に娘達があの資料室で見つけるからこそ素敵な話となっていって、
    とても上手く一冊の本を描いていると感じました

    娘なのだから当たり前なのですが、
    二人にはことまきの面影を感じつつ、
    けれど間違いなくそれはあの母親の二人であって、
    今までが大人になった様子しか見ていなかったのでとても新鮮で、
    心理描写も丁寧に胸に入り込んできて、素晴らしかったと思います

    名前に関してはどうするのだろうかと思って読み進めていたところ、
    綺麗に落とし込んでいてこれもまたこのカップリングの魅力だなと、
    まさにこの二人のカップリングの新たな開拓が読めたような気持ちでした
    ことりママと真姫ママ、
    これは完全に一つのカップリングとして通用すると思う程素晴らしかったです

    そして、
    この小説で一番好きな場面なのですが……
    ただ一つ切り取った場面としては7番目のP120~からなのですが、
    一冊の本全体の構成としてみると、
    最初のページと最後のページが同じ場所であり、
    そこに描かれる資料室の一貫した空気と、
    同じ場所、同じ段ボール箱、木箱、そして黒鍵
    対比される母と娘という時代の流れの描写や、
    恋に一つの終わりを迎えて一人でやってくる真姫ママと、
    まだ思いを伝えていない頃の二人という描写
    ここが一番素敵だなと思いました
    他の場面にも随所に対比表現、共通表現があって、
    読んでいてそれぞれの情景がより浮かんできて、
    すごく良かったと思います

    また、本人に直接伝えようかと思いますが、
    表紙、栞ともにmeticoさんのイラストも素晴らしかったです
    更に目次から栞まで装丁にこだわっていることが窺えて、
    一冊の小説としてことまき本を本棚に並べられることが
    ことまき好きの一人として本当にうれしく思います

    最後に、この記事を読んだ感想を

    うみまきとことまきは、
    それぞれ真姫ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん自体の、
    それぞれの魅力が伸びる方向性が全く違うものの、

    ・制作組
    ・手品師編とサーカス編
    ・お祭り編報酬SRで制作組(ことりちゃんだけ覚醒後衣装違いますが)
    ・真姫ママはことりちゃん、真姫パパは海未ちゃんでエピソード
    ・赤と白と、赤と青

    などなど意外と共通点が多くて他の真姫ちゃんカップリングの中でも少し特別な目で見ているのですが、
    やはり過去のことが絡むとなるとこの作品でも扱われた特性として、
    ことまきが合っていたのではないのかと思います

    ただ、いくつか他の方の作品を見ながら自分でも考えを固めてみてはいるのですが、
    やはりことまきにおけるこの特性、もとい主題は非常に難易度が高かったと思います
    執筆している様子をTwitterで少し拝見していたのですが、
    まだ読了もしていない身でしたからエールの一言も言えず申し訳なかったです
    その上で、
    やっと今日こうして手に取って感想を伝える事が出来て、
    本当によかったと思っています

    感想を打ち始めたのが午後5時で今現在が9時ですから、
    四時間ずっとReunionを聴いたままでしたが、
    小説の情景を思い浮かべる事が出来て凄く集中できました
    装丁に始まり、本文の最初から最後まで、
    本当に素晴らしかったです

  2. >>Berylさん
    Berylさん初めまして。

    ここまで長い感想頂いたのは初めてなので驚きながらも、本当にありがとうございます…!

    曲についてもまた書く予定ですが、あの楽曲は海底が一つの場面として意識して作ったので、
    そのイメージした海底について音楽を聴いて感じ取って頂けてとても嬉しいです。

    正直言うと、自分はあまりそういったカップリングについて知っているわけではないのと、
    自分の書き方がカップリングを深く考えた後に書いているわけではないので、
    「ことまき」の主題とか、そういったものについては自分はあまり良く分かってません。

    そういった点ではBerylさんの方が深く考えられていると思いますし、
    自分の作品の中からそういった部分を感じ取って言葉にしてくださって
    あぁ、なるほどなぁと思う部分がとても多かったです。

    あまり一つ一つにコメントをすると、
    自分が何も考えていないでこの作品を書いていたことがバレてしまうのですが、
    ことりは最終的には自分の意思を貫く強さと、
    それに対してどう折り合いをつけられるかをしっかり考えて
    それも一緒に織り込めるしなやかさを持っている子だと思っているので、
    まさにBerylさんが仰る通りの姿で、きちんと伝わることが出来たんだな、と
    そう言ったご感想を頂けてほっとしております。

    対比は書きながら上手く合わせるように書いていったので、
    そういったところにも目を留めて下さって、
    本当にありがとうございます。

    表紙、裏表紙を書いてくださったmeticoさんには本当に感謝の言葉もありません。
    あのイラストを描いて浮かんだイメージもありましたし、やはり
    表紙を見て手に取って頂いた方も多いと思いますので、
    やはりこの作品はmeticoさんのご助力も相当あった作品だと思います。
    そう言った感想を頂けて、自分もとても嬉しいです。

    きっと他のキャラクター、カップリングでも書けるのでしょうが、
    色々と広がっていたパーツを少しずつ集めていった結果としては
    やはりこの話はことまきでよかったな、とBerylさんのコメントを見て改めて思いました。

    長い時間を自分の感想に割いて頂いてありがとうございます。
    ことまきを今後書くかどうかは定かではありませんが、
    また機会があれば読んで頂けたら幸いです。

    本当に、ありがとうございました。

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