『Snow Drop』のはなし(5曲目「二人の存在の交差点」

どうも。
浮月です。

『Snow Drop』の曲のコメントという名の言い訳もいよいよ最後です…。

5曲目「二人の世界の交差点」

エンディングと言うわけではないのですが、恐らく一番のキモ的な部分をイメージした曲です。

色々とどう作ればいいのか考えていた時、音にリバーブをかけて反転したものがどうのという記事を見て、それを実際に試してみたらとても良かったのです。
記事ではグロッケンだった気がするのですが、なんとなくでハープを選んでみたらとてもよかった。
そしてそこに江口せんせーからディレイのエフェクトを教えてもらっていて、それをあわせてみたら更にいい具合に。
「追憶」というか、夕焼けを見ながらの「回想」のような淋しさと優しさが出ている感じだったのです。
それが曲中にちょくちょく入っているディレイがかった音なわけですが。

自分の中の物語では、この曲よりも前に多汰美は登場していて伊鈴の心は小さくですが確実に動きます。
でもそこには抗えない現実というものがあって、その現実を受け止めながらも多汰美と出会った記憶を胸に秘める伊鈴がそこにいるのです。
そういった伊鈴を表現できていれば、いいなぁ、と。

3曲目の紹介で、3曲目は「伊鈴の世界で完結する」と書きました。
じゃあこの5曲目は何だよ、って話ですが、「伊鈴と多汰美の世界が繋がる余韻を残している」ということです。
この曲の最後は3曲目の1つの音色ではなく、2つのピアノ(一方はラジオエフェクトをかけた音色)の掛け合いと、ディレイがかった音がゆっくりとフェードアウトしていきます。

会いたい
声を聞きたい
言葉を届けたい
そばにいたい
共に笑いたい

そんな伊鈴のありふれた願いを最後のメロディーに込めたつもりです。
そしてそれに呼応するのは多汰美の世界の音であり、遠い記憶を呼び起こすようなあのリバース音です。
この曲は、単色で完結する双観 伊鈴というキャラクターの世界だけの物語ではなくなっている。ということです。

この物語は『トリコロ』において、没キャラとなってしまった少女「双観 伊鈴」をメインにした話というのは何度も言いました。
が、それと同時に『トリコロ』に対しての自分の思いをメッセージを込めた物語です。

そして、そのメッセージはジャケットの英文に伊鈴を借りて記しています。
So, she has been waiting for you under the monochrome sky now.
(そう、今も彼女はモノクロの空の下で、あなたを待っている)
この「you」には色々な意味を込めました。

それは、この文章を見たり音楽を聴いて存在を認知してくださってる「あなた」であり、
それは、この物語中で伊鈴に存在価値を再認識させる「多汰美」であり、
そして、『トリコロ』という作品が再び連載され、いつか原作に登場させることが出来る唯一の人である「海藍先生」を……

そう。彼女は、“『トリコロプレミアム』でその存在を明らかにした時/原作が休止した時から”、モノクロームの空(設定資料集という原作とは断絶されている世界/原作が全く動いていないファンにとっては乾燥した世界)の下で、「あなたを」今でも待っているのです。

そしてこの曲のように、決して一つの自己完結されたものではなく、彼女、拡大して言えば『トリコロ』という作品のファンの想いに応えてくれる何かがあるのを、どこかで希望を持っても良いよね。
そうしたメッセージを託したつもりです。

長々となって、自分でも正直上手くまとまっていないのですが
ようするにそういうことなのです。

最初は伊鈴の物語だけだったのですが、それに加えて自分の『トリコロ』に対するメッセージを込めたらなんかよくわからないものになったのですが、まぁ、なんとか形に出来てよかったです。
しかしながらも、まだ伊鈴の物語としては全部出来ていないわけで。
夏に向けて、ぼちぼちとですが作って行きたいと思います。

もう少し、まともに聞かせられる曲が作れたらなぁ。

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